【寄稿記事】カトリックPUCMM大学と東京理科大学の学術協定の締結

平成30年11月24日

 日本の数学魔術師の秋山仁教授が特任副学長を務める東京理科大学は、2015年にノーベル生理医学賞を受賞した大村智教授が学んだ大学だ。秋山教授は、9月30日から10月11日まで山口学芸員とともに第二回目のドミニカ共和国訪問を行った。今回の訪問では、国家教員養成院のアレンジによる各地方の教職員への講演やワークショップを行った。また、サンティアゴ市のカトリックPUCMM大学を訪問し、本年3月に締結した学術協定に関わる具体的な協議を行った。
 
 10月5日、秋山教授はPUCMM大学を訪問し、ラモン・アルフレッド・デ・ラ・クルス・バルデーラ学長及び同大学幹部と会合し、同会合冒頭、同学長は秋山教授に対してこれまでの同教授の当国及び同大学への学術貢献を称えつつ、同大学の名誉博士号を授与した。

 
アルフレッド学長との会合で秋山特任副学長は、東京理科大学の今後の対ドミニカ共和国の援助・協力として4点を述べた。
 一点目は、数学分野に限らず東京理科大が有する専門分野に関してPUCMM大学関係者等10名のドミニカ人を東京理科大学が受け入れる用意がある。
 二点目は、来年1月に予定されているPUCMM大学の数学博士課程への協力、及び同課程における来年2月に理科大から派遣される鎌田大学院生の同大学教員及び学生との協力。
 三点目は、来年3月秋山教授の友人である”はこだて未来大学“の4名の教授が、PUCMM大学及び他の教育機関でプログラミング及び数学に関するワークショップなどを実施することが可能(注:時期については今後より効果的なタイミングを検討する方向)。
 また、四点目として、秋山教授の同志であり数学国際オリンピックで日本人女性初の金メダルを獲得した中島さち子さんが来年6月に当国を訪問し、中米カリブ数学オリンピックの開会式で基調講演を行い、その際PUCMM等の機関で数学に関連付けたコンサートやワークショップを行うことが可能と述べた。また、中島さんは、2023年の東京国際数学オリンピック等を念頭に有望な児童などへの集中講義・ワークショップ等も行う予定だとも述べた。
 

 上記の各計画の他、秋山教授はプラッシッド・ゴメス高等教育省次官との会合において、高等教育省が進めているINTEC大学、UNPHU大学及びUASD大学での来年から始める数学博士課程コースへの協力も行う用意があるとも述べた。  
 秋山教授は、そのユニークな楽しく面白い教授法を通じて日本及び諸外国で最もよく知られた数学者だ。多くの学術的貢献の中でも、日本のNHK等と共同で製作した200以上に及ぶ数学テレビ番組の放映が特筆される。ドミニカ共和国への貢献としては、サント・ドミンゴの旧市街の通信博物館内に昨年開設された数学博物館がある。
 
 
 
 東京理科大学は、日本の理工系大学としては最も歴史があり、1881年に日本の将来を憂い、欧米に追いつくことを目指した東京大学の卒業生19名により創設された。その頃日本政府も産業発展及び近代化に向けて、諸外国から約8000人に及ぶ学者、専門家、技術者等々を招待したほか、欧米の見聞を広めるために107名の優秀な若者を約2年間派遣した。
 東京理科大学は多くの外国教育機関と学術協定を締結しているが、今回のカトリックPUCMM大学との学術協定は、スペイン語諸国の大学と締結する初めての協定である。
 今回のサンティアゴのカトリックPUCMM大学訪問で、秋山教授は昨年に続き数学の定理について楽しく面白い数学としてワークショップを行った。
 
 
在ドミニカ共和国日本国特命全権大使
牧内 博幸