数学者・ジャズピアニストの中島さち子氏のドミニカ共和国訪問
メレンゲとバチャータは耳に心地よい、ドミニカ人の気性を率直に表現している音楽です。メレンゲは世界で高く評価され、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。サントドミンゴの街中でメレンゲやバチャータが聞こえてくると、共鳴して自然と体が動き、踊りたくもなります。これはメレンゲやバチャータの美しいリズムに心が感動して体が動くためでしょう。楽器の共鳴と同じように、人の心の共鳴や感動を数学で理解出来たら、どんなに楽しいでしょうか。ドミニカ人もきっと数学がもっと好きになるでしょう。
6月13日~18日、日本の女性として初めて 国際数学オリンピックで金メダルを受賞したジャズ・ピアニストの中島さち子さんによる講演・コンサート(下記)をサントドミンゴで開催しました。中島さんは、メレンゲやバチャータの演奏をしながら数学の面白さを紹介され、難解な数学の公理や理論をメレンゲやバチャータのリズムを使って楽しく教えてくれました。また、中島さんは、サントドミンゴで開催された中米カリブ数学オリンピックの開会式で講演・コンサートを行った他、参加していた生徒・学生の質問に分かりやすく答え、参加者に対し数学を学ぶ楽しさを伝えてくれました。
中島さんは、6日間のサントドミンゴ滞在中(お嬢様の颯さんも滞在)、副大統領府との共催で開催した数学教師向け講演・コンサート、国営放送チャンネル4の番組「マヌエル・エルメス」出演(Manuel y Hermesのユーチュブで視聴可能)、フェルナンド・ヒラルデス・ヤマハ楽器店(今回一連のイベントで共催)での地元音楽家とのジョイント・コンサート、生活環境の厳しい地区にあるセントロ・デ・エクセレンシア学校でのワークショップ、日本大使館所在のアクロポリス・ビルでの一般市民向けコンサート、中米カリブオリンピックでの基調講演・コンサート、及びアントニオ・ペーニャ・ミラバル教育大臣への表敬などを行いました。
講演及びコンサートでは、空気で伝わる音は周波数を通じて示され、耳に心地よい和音はシンプルな周波数の比率によるもの等と説明された他、バッハのクラブ・カノンの楽譜を通じてバッハ音楽の対称性、そしてバチャータやメレンゲのリズムの特徴などについても数学を使って分かりやすく説明されました。
セントロ・デ・エクセレンシア学校では、音楽を通じた数学学習の楽しさを語った他、紙とはさみを利用し、エッシャーの対称性を学ぶワークショップを行いました。その後、バチャータとメレンゲ、そして中島さん作曲の音楽のコンサートを始めようとしたところで、残念なことに停電になってしまい、演奏を行うことは出来ませんでしたが、今回の音楽と数学の関係性の講義やワークショップを通じ、数学が好きになったという発言があちこちから飛び出し、非常に有意義なワークショップになりました。
なお、中島さんは昨年、内閣府から「STEM Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)」としての委嘱を受け、音楽を通じて楽しく数学を教える活動や、野球な どのスポーツを通じて数学を楽しく理解する活動を通して、理工系分野での女性の活躍を推進する活動を行われています。
児童青年図書館における数学教師を対象とした講演(6月13日)
6月13日(木)に、ドミニカ共和国副大統領府との共催で、数学教師を対象とし、音楽を通して数学の楽しさと面白さを伝える講演を行いました。
国営テレビ出演(6月13日)
フェルナンド・ヒラルデス・ヤマハ楽器店(当地ヤマハ販売代理店)における音楽関係者を対象としたジャズコンサート(6月14日)
6月14日(金)に、フェルナンド・ヒラルデス・インストゥルメント社との共催で音楽関係者を対象にジャズコンサートを行いました。コンサートは数学と音楽との関連性の説明などを交えつつ行われ、バンド "Aires de Unción"とのバチャータ等当地の音楽を織り交ぜながらの演奏は参加者に非常に好評でした。
セントロ・デ・エクセレンシア学校における生徒を対象としたワークショップ(6月15日)
6月15日(土)に、セントロ・デ・エクセレンシア学校(北サントドミンゴ市)の生徒を対象に数学を楽しく学ぶことの出来るワークショップを開催しました。生徒たちは全員が参加して対称性について楽しく学びながら素晴らしい作品を作り上げていました。
アクロポリスセンターにおける一般市民を対象としたコンサート(6月15日)
6月15日(土)の夜に一般市民を対象としたコンサートをアクロポリスセンターにて開催しました。
アントニオ・ペーニャ・ミラバル教育大臣表敬訪問(6月17日)
中米カリブ数学オリンピック開会式における基調講演(6月17日)