秋山仁数学体験館の開館式
令和2年12月14日


令和2年12月14日、青少年児童図書館内に、五感で数学を体感することを目的に秋山仁東京理科大学特任副学長より寄贈された教具を展示した「秋山仁数学体験館(Sala de la Experiencia Matemática Dr. Jin Akiyama)」がオープンしました。
開館式には日本を代表して牧内駐ドミニカ共和国大使が出席し、ドミニカ(共)からはアビナデル大統領、アルバレス外務大臣等が出席しました。

牧内大使は開所式にあたり2015年に秋山教授と初めてお会いした際に秋山教授の教授法に関心を持ったこと、2016年にドミニカ(共)に赴任した直後から活動を開始し、当国の数学教育発展のためにドミニカ(共)政府に数学博物館の建設を提案したこと等の経緯を説明すると共に、全ての協力者に感謝の意を述べました。また、「開始は簡単であるが、維持は難しい。来場者の理解を深めるためにはインストラクターの養成が不可欠であることから、図書館の優秀な職員達を教具説明員として育成してきた。この数学体験館での経験を通して、創造的で情熱的な生徒や先生が多数現れ、将来的にこのスペースにドミニカ人数学者が開発した教具も並ぶこと望んでいる」と期待を述べました。
また、アビナデル大統領は秋山教授及び牧内大使による数学振興に向けた支援に謝意を表明しつつ、「科学には、国境、人種等関係なく、極めて正確な世界共通の言語である。この体験館はその言語を学ぶ場所であり、難しい定理を、簡単且つ楽しい方法で学習することができる。ドミニカの子供達のため、この数学体験館を起点として、より普遍化させたパイロットプランを立て、あらゆる分析能力、想像力の源である数学教育の振興を提案したい」と展望を述べられました。


秋山教授は2017年及び2018年にドミニカ(共)を訪れ、教具の供与、生徒向け及び教職員務向けの数々の講演を含む活動を行い、当国における数学教育の振興に貢献され、2017年にサント・ドミンゴ自治大学(UASD)から、2018年にマドレ・イ・マエストラ教皇庁カトリック大学(PUCMM)から名誉教授の称号が授与されました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受け、開館式への秋山教授の御臨席は叶いませんでしたが、秋山教授によるスペイン語でのお祝いのビデオメッセージが上映され、会場から満場の拍手が起こりました。
式典終了後、牧内大使、アビナデル大統領等によるテープカットが行われ、展示スペースの視察が行われました。

数学体験館設立の経緯
牧内大使はバルセロナ総領事であった2015年に、スペインを訪れた秋山教授の「楽しく学ぶ数学」という講演に感銘を受け、その後同教授のすすめで訪問したバルセロナ・コルネジャ数学博物館(Museo de Matemáticas de Cornellá en Barcelona)を視察しました。そこでは、学生達が触ったり操作したりできる教具を使用して、数学の定理と公式の背後にある原理と論理構造を考え、創造し、精査することを学んでおり、その非常に実用的でエキサイティングな学習方法と、教師と学生の喜びに満ちた顔を見て、牧内大使は「この教授法の進歩に尽力したい」という思いに至りました。
2016年に特命全権大使としてドミニカ(共)に赴任して間もなく活動を開始し、ドミニカ(共)政府と秋山仁教授の支援を受け、2017年11月にサント・ドミンゴ旧市街にある通信博物館内に数学博物館として開設されました。
その後、より生徒・児童が触れる機会を持てることを目的として、青少年児童図書館への移設が決定され、ドミニカ(共)大統領府、青少年児童図書館、政府系福祉機関(PROSOLI)等の協力により、この度リニューアルオープンしたものです。インストラクターの指導は牧内大使自らが行いました。